2014年度の入学宣誓式が、ホテルロイヤルヒル福知山において執り行われました。

 

【内山学長式辞】

春爛漫の今日の佳き日、本学は2014年度の入学式を迎えることができました。成美大学・成美大学短期大学部の新入学生の皆さん、ご入学おめでとう。心から歓迎いたします。

福知山市の伊東副市長をはじめ、来賓の皆様にはご多用のところ入学式にご臨席を賜り厚く御礼申しあげます。また日頃より、本学の教育に深いご理解と温かいご協力をいただき改めて御礼申し上げます。さらに地元の新聞社、ラジオ、テレビをはじめマスコミ各社の皆様には本学の教育、就職、学生の課外活動、地域貢献活動を正確に、そして詳しく報道していただいています。この場を借りまして深い感謝の意を表する次第です。

 

一.新入生の皆さんにはまず、本学、および短期大学部は斬新な教育方法で素晴らしい高等教育を行っていることを申し述べます。とくに素晴らしいことは、学生全員を教育する方法を開発し、意欲的な学生を飛躍的に伸ばし、意欲の足りない学生の底上げを実現していることです。斬新な方法を一つあげますと、一つの授業を二人の教員で担当し、学生諸君に複数のアプローチを行っています。これは国際的にはチームティーチングと呼ばれる方法で、日本ではほとんど見られず、学生数の多い大学では不可能なことです。
もう一つは教養的専門的学力と高度な自己管理力の育成、向上を一体的に、かつ徹底的に行っていることです。自己管理力とは、自分のことには自分が責任を持ち、決定する力ということですが、高度な自己管理力とは、他人の考え方を正しく理解し、他人と力を合わせて仕事ができるという能力です。これに加えて熱心なキャリア教育、就職活動サポートによって学生諸君の希望の就職につなげています。3月に卒業した諸君は公務員関係、将来性のある有力企業、有望企業、大きな病院などの医療機への就職を実現しました。
 大学での勉強は学修、つまり学び修めると書き、主体的に学ぶということです。本学の教職員は一丸となってときに厳しく、ときに暖かく、正課及び正課外の教育に取り組みます。このことを保護者の皆様方にお約束するとともに、新入生諸君は教職員の熱い思いにかならず応えてほしい。

 

二.21世紀も14年目に入りましたが、諸君がこれから生きてゆく疾風怒濤の時代の時代認識について申し述べます。今から六年前の2008年、リーマンショックと呼ばれる証券会社の破たんをきっかけに世界同時大不況が発生しました。これを境に世界の人々は、経済成長に限界があることを知り、所得は横ばいで、増加は見込めなくなりました。先進諸国では、大量の貧困と失業が恒常的に存在し、所得格差がますます拡大しています。富める者はますます富み、貧しい人々はますます貧しくなっています。
次いで2011年3月に発生した東日本大震災と福島原子力発電所の爆発事故は、被災者や被災地に甚大な人的経済的被害をもたらしただけでなく、世界史的意義を持っています。グローバル化の進展は、競争原理、すなわち優勝劣敗の原理をますます激しくしていますが、東日本大震災とその救援、復興の過程は競争原理以上に人々、そして国と国との間の連帯と協力が必要であることを示しました。福島原発事故は無制限な電力消費、エネルギーの大量消費が支える豊かな物質生活に、強い自制、セルフコントロールと根本的な転換を迫っています。

このように、2008年の世界同時大不況と3年前の東日本大震災、福島原発事故は、これまでの経済の在り方と人々の意識を根本的に転換する意味を持っています。すなわち諸君がこれから生きようとする今後の半世紀、50年間の世界と私たちの生活の在り方を決定するできごとなのです。みなさんが、このような時代についての認識を一層深めることを期待します。

 
三.入学式にあたり、皆さんに次の言葉を贈ります。諸君は大学の4年間、短期大学部の2年間に必ず、「オンリー・ワン」、自分にしかできないこと、自分しか持っていないことを、是非身に着けてほしい。決して簡単にできることではありませんが、将来に長く生きる「オンリー・ワン」のしっかりした手がかりをつかみ取ってほしい。本学の教職員はすべて、自分の持ち場で学問、スポーツ、社会的地域的活動の分野で最高水準にトライし、チャレンジして、見本を示しています。そしてこのマインドと態度で皆さんの教育にあたっています。熱い心を持って皆さんの心に火をつけるのが教職員の役割です。皆さんの心に火がつかなければ、教育の成果はあがりません。諸君は教職員を信頼し、積極的に利用して欲しいと思います。

 

四.次に、特別に短期大学部の新入生の皆さんに一言、期待を述べます。2013年に和食、日本人の食文化がユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。
また過る2005年食育基本法が制定され、食育、すなわち食文化の教育が、知育、体育、徳育の土台であることが、日本の法律に明記されました。これによって食、食べることや食文化が国民的関心事となり、食育や食文化を豊かにすることが、国家的事業になっています。私はこれまでイギリス、ドイツで計2年半研究したことがあります。かの国では親しい人々の間での最高のもてなしは、互いに自宅に招待して食事を共にすることです。私はこれを何度も体験し、食文化を通して深い友情が育まれ、その国の文化や伝統を知ることができました。私は、自宅に招待しあって食事を共にする文化がこの国に根付くことを願っています。
 皆さんは栄養士、フードスペシャリストとして日本の食育、食文化の担い手になることを期待されています。自発的な研鑽を重ねて、レベルの高い食文化の担い手になってください。

 

五.次に留学生諸君への期待を述べます。本学における教養的専門的教育には価値の高い学ぶべきことがあふれています。三年制に編入する留学生の多くは大学院への進学を目指しています。希望が実現できるよう、しっかり土台を作ってください。留学生のみなさんは多くの知識、理論、文化的素養を身につけて、君たちの祖国の発展と日本との友好関係を実り豊かにすることに役立ててほしいと思います。

 

六.大学での学び、学を修めることは自分との闘いです。すべての新入生の皆さんは皆計り知れない潜在力を持っています。皆さんのご入学をお祝いし、健闘を祈って式辞と致します。

                                                      2014年4月1日

                      成美大学・成美大学短期大学部 学長   経済学博士  内 山 昭